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【エッセイ7】お母ちゃん

写真と本文は関係ありません


おじいちゃん、と呼ばれるのが嫌だから「じぃじ」らしい。
おばあちゃん、と呼ばれるのが嫌だから「ばぁば」だそうだ。

そもそも「パパ、ママ」でさえ違和感のある私にとって、こういう
呼び方はいかにもこそばゆい。いえ、決して否定しているわけでは
ありません…。いいんですよー、別にそれで。

ただ何となく「お父さん」とか「お母さん」あるいは「おじいちゃん」
「おばあちゃん」、という呼び方もまんざら捨てたものではないなぁ、
と感じるだけです、はい。

私は恥ずかしながら子どもの頃は「お母ちゃん」と呼んでいた。
小学生の3年くらいから、それでは格好悪いから「お母さん」にしろ、
と母親に言われ「お母さん」と呼ぶことにした。

けれども高校に上がる頃になると、もうそんな風に呼ぶことさえ
できなくなり「ねぇ」とか「あのさー」など、そういう言葉をできる
だけ使わないで呼ぶようにした。もちろん外では「お袋」である。

小さい頃、それはまだ小学校にも上がらない頃、私は漠然と母親に
捨てられるような気がしていた。実際、所謂養護施設という所に
数日間預けられたことがあった。

だから、私は母親の後ろ姿が怖かった。そんなある日、母親がいつもの
オーバーを着て足早に歩いている後ろ姿を見かけた。これはえらいことだ。
いよいよ捨てられた!と思った私は「お母ちゃーん」と何度も叫びながら
必死で追いかけた。

泣きながら追いかけたが、やっと追いつきそうになった時に、振り向いた
人は別人、赤の他人だった…。

ま、それでも私はなぜだか「お母ちゃん」という呼び方が懐かしい。
私は母親を「お母ちゃん」と呼べた頃の自分が、今でも好きだ。