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【代理店時代−6】

京都で撮影した時の1コマ


ところでその頃の新東通信はCMの
仕事があると、映像の制作会社に
企画を委託していました。

つまり社内では企画を考えることなく、
制作会社のプランナーが考えた案を
見て、その中から選んでクライアント
に持って行っていたのです。

そういうやり方にも疑問を持っていた
ので、自分がCMの担当になったら、
必ず自分で案を考えようと思っていま
した。

そんなこともあって自分でラフコンテ
を描くことは、ものすごく私にとって
楽しいことでした。

企画がほぼ固まり、ラフコンテが完成。

それからコンテマンに頼み、きれいな
コンテに仕上げてもらいました。

今は自分で描いたラフコンテで打ち
合わせをしますが、当時はコンテマンに
発注して描いてもらうことがほとんど
でした。

企画もコピーも自分で作りました。

今、振り返れば、面白かったのか、
そうではなかったのか、よく分かりま
せんが、とにかく初めてのテレビCM
の企画ですから、間違いなく力は入って
いたと思います。

そしてコピーは、

「店員は無愛想だが、カメラは安い」

という、当時の名古屋制作のCMに
してはかなり攻めた(笑)CMでした。

これは、そもそも営業のSさんが私に
『この店の店員は無愛想なんだけど
カメラは本当に安いんだよ〜』と、
言ったので、じゃあ、ということで
前述のコピーにしたのです。

(実際、ロケハン?に行ったときにも
無愛想で感じが悪かったです)

私は広告で嘘をつくのは嫌いなので、
あまり自画自賛するようなものは
作らないという妙なポリシー(笑)を
持っていました。

ですから、これは真実をちゃんと
伝えることになったわけです。

ところがその営業のSさんは大反対!

クライアントからも却下されました。

そんなことをCMで言ったら、誰も
来なくなる!

というのが両者の意見でした。

私はとにかくそのコピーで行きたい
ので、説得にかかりました。

Sさんは、クライアントがOKなら
仕方ない、ということで渋々了承
しました。

肝心のクライアントは、もう絶対に
だめ!の一辺倒。

結局3日間通って説得しました。

そのカメラ店の近くにあった喫茶店
に3日連続で行き、クライアントの
後藤さんを合計8時間ほどかけて
何とか説き伏せました。

そして撮影開始。

編集・MAも終わり、何とか完成
しました。

それからオンエアが始まりました。

オンエア1週間後に店の様子を見に
行きましたが…。

全然、お客さんが増えていなかった
のです!

どうしよう…?

そう言えば、クライアントからこんな
ことを言われていました。

『もしオンエアしてもお客さんが増え
なかったら、どうしてくれるんだ?』

私は自信満々だったので、もちろん
責任取りますから!なんて言ってしま
いました。

これは困ったなぁ…。

しばらくは店に行くのはやめよう、
と決め込んで知らん顔することに
決めました。