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【代理店時代−7】

無愛想を感じろ!


知らん顔を決め込んだ私でしたが、
実はオンエア直後にもクライアント
から呼び出しを受けていました。

その理由は、オンエアでは「店員は
無愛想だが、カメラは安い!」という
コメントが聞き取りにくく「店員は
ブスだが、カメラは〜」に聞こえる
というものでした。

それもまた事実だなぁ…なんて思い
ましたが(笑)そんなことは言えない
ので、大人しくクライアントの暮らす
マンションで、汗だくになってクレー
ムを聞いていました。

何でも子どもが生まれたばかりだから
エアコンは身体に悪い!と言う理由で
エアコンのスイッチが切られていた
のです。

知らん顔を決め込んでから、さらに
1週間が経ちました。

その頃、営業のSさんが「健ちゃん、
最近アサヒドーカメラに行った?」
と聞いてきたのです。

「1週間前に行ったけど、ガラガラ
だったから行ってないです」と私が
答えると、

「すごいことになっているよ!」と。

何でも店の前に行列ができている、
なんて、言うではありませんか。

半信半疑でこっそり見に行くと、
確かに行列ができていました。

当時、名古屋のバンドとしてはいち
ばん活躍していたセンチメンタル・
シティ・ロマンスに依頼して作って
もらったコマソンも受けたようです。

その年、おそらく目標としていた
売り上げの10倍。

それまでの年商のほぼ20倍の売り
上げを記録しました。

アサヒドーカメラは最終的には
80億もの売り上げ(当時のほぼ
100倍です)を記録しました。

私は3年ほど企画・制作をしま
したが、編集室でクライアントと
言い合いになって降りてしまい、
その後も企画を依頼され続けまし
たが二度とやりませんでした。

というわけで、私が考えたCMが
その売り上げに貢献したのか?

ということになると、はなはだ疑問
です。

その後を継いで、さらに面白いもの
を代理店の後輩に当たる亀井君たち
が企画・制作をしてくれたから
でしょう。


ところCMをオンエアし始めて、
売り上げがぐんぐん伸びてくると
クライアントは講演会で引っ張り
りだこになりました。

なんせ坪あたり売り上げの日本記録を
更新してしまったのです。

それまでは上野のアメ横にある店が
その記録を持っていたのですが、
アサヒドーカメラがあっさりと
抜いてしまったのです。

クライアントの後藤さんはヒーロー!
カリスマになりました!

そして講演会場ではあのコピーは、
自分が考えた、と話していたそう
です。

クライアントと一緒になって、あの
コピーに反対していたSさんも同じ
ように「私が作った!」と言いまく
っていました。

とは言っても、当時の名古屋の広告
業界のクリエイティブワークとして
評価されたわけではありません。

愛知県の広告賞に出したら、見事に
ブービー賞。(笑)

また一般の方にもそれほど受けた
わけではありませんでした。

あのCMを面白い!と言って、支持
してくれたのは、

小学生たちでした。

子どもたちの間では「○○はブスだが、
○○はすごい!」みたいに流行ったよう
です。

(おまけ)
そっくりさんCMが禁止になったので、
ほとんどオンエアしなかったCMがあり
ました。(私の企画ではありません)

永ちゃんのそっくりさんが出てくるの
ですが、その時に使ったコピーが、

「I FEEL 無愛想!」

それからボツりましたが、覚王山の
日泰寺の弘法さん(ばあさんがいっ
ぱい集まる縁日)で撮影したかった
CM案。(これは私の企画)

ばあさんの中を「無愛想」と書いたプラ
カードを持った男性(チューリップキャ
ップに絞りのTシャツ、ベルボトム姿)
を歩かせる(要はXEROXのオマージュ)
というもの。

そのコピーが、

「モーレツから無愛想へ。」

なんてものも考えていました。

そうそうグランドキャニオンロケや
ロシアロケも却下されました…。