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【エッセイ15】ラグビーって

本文と写真は(少し)関係があります


数年前には、RWCの開催を一日、一日、楽しみに過ごしていた。

ラグビーをしていたわけでもない。

精通しているわけでもない。

ただ、高校生の頃に自分を可愛がってくれた、私にとって恩師と言える
素晴らしい先生がラグビー部の監督をしていたから。

それだけの理由でラグビーが好きになり、テレビ中継ともっぱら
瑞穂ラグビー場で試合を観続けてきただけだ。

伏見工業の初優勝も、かつてのライバル西陵商業の優勝も、新日鉄釜石、
神戸製鋼の連覇も全てリアルタイムで観てきた。

そして宿沢監督の満面の笑み。

いかに一軍半とは言え、スコットランドに勝利した時。

テレビの前で小躍りして喜んだ。

台風真っ最中の夜、瑞穂でのテストマッチ。

横殴りの雨の中、村田亘の勇気あるプレーに心を揺さぶられ感動した。

そんな試合も印象に残っているが、実はいちばん覚えているのは、その先生
が指導していた母校のラグビーチームが県予選で負けた際の試合だ。

試合が行われた高校のグラウンドの片隅。

そこで泥まみれになったジャージの袖を顔に押し当て、彼らは泣いていた。

試合中に顔に付いた泥が乾き、流れた涙の跡がはっきりと見てとれる。

彼らは人目を避け、野球のバックネット裏で肩を震わせていた。

そんなシーンを観て、すっかりラグビーの魅力に取り憑かれた私の
ような人間にとって、ワールドカップはまさしく夢だった。

全てのラグビーファンはワールドカップを待ちに待っていた。

そして開催されたRWC。

興奮の渦は日本中に伝播し、歴史に残る大会となった。

そして今、私たちは絶望の淵にいる。

でもきっと。

倒されても必ず起き上がるラグビー選手のように。

そう思っている。

最後に藤島さんの著書から。

ラグビー選手でありさえすれば、いい人なのか。

それは甘い。

ただし、ラグビーは絶対にいいもんだ。