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「入り口を変えるブランディング」5

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「入り口を変えるブランディング」5

【クリエイティブ・ブランディング】

よく「クリエイティブ・ブランディング」という言葉を聞きますが、この言葉を使っているのは、ほとんどがデザイナーとか
クリエイティブ・ディレクターです。
そこにはやはりクリエイティブワークこそが、ブランディング構築で最も重要な役割を果たすという決心と自信が見られます。
そしてこんな問題が起きてきます。

ところで一体、誰(どのザイナーやクリエイティブ・ディレクター)の意見やセンスを信じればいいのだろうか?

先ほど「外面指数」という表現をしましたが、これはデザインがどれほど優れているかを測る物差しがある、ということです。
それがある意味、数値のように客観的にその優劣を判断するデータになるはず、ということで指数という言葉を使ったわけです。
でもきっとこれを読んでくれているみなさんは疑問に思われると思います。
それは割り切れないことを数字にすることはできない、と散々言っていた私がここで指数などという言葉を使っていることに。
そうです。
感覚を数字にすることはできません。
ただ、こんな言い方はできるかもしれません。
例えば自分がとても信頼している友人がいるとします。
また、その人が言うことにはどういうわけだか、とても納得できます。
「外面指数」を測るということは、この感覚に近いかもしれません。
つまり、その友人の考え方や行動が指数の物差しになるのです。

これはデザインやコピーを見るときにも同じことが言えます。
そのデザイナーのつくるものは、かっこいいと思える。
そのコピーライターがつくるコピーには、共感できる。
そういうクリエイティブ・ブレーンの意見やセンスこそが「外面指数」を高めてくれるのです。

マーケティングにおける数字が、あくまでも客観的な(物理的に割り切ることができる)数値だとしたら、クリエイティブ・
ブランディングにおける「外面指数」は(割り切ることができない)主観的な感覚なのです。
ですから1点とか100点という判別ではなく、最高にかっこいい、とか、
かなり素晴らしい、とか、あまりかっこよくない、とか、めちゃくちゃダサい、というような(評点ではなく)評価に
なるのです。
どうも訳の分からない話だなぁ、と思っていますよね?
ところが、これは真実です。
こころの中には最高から最低までを判断できる感覚が存在していて、その都度ちゃんと言葉に表さなくても判断を下し
続けているのです。

ここで気をつけなくてはいけないことがあります。
それはブランディングを考えている(仮に)企業のオーナーが、自分自身がクリエイターだと誤解してしまっては
いけない、ということです。
そのためには、とにかくデザインやコピーについて学ぶことが肝心です。
またそのためにはちゃんとした書籍や資料を参考にしなくてはいけません。
よくあるノウハウ本に紹介されているデザインやコピーははっきり言って参考になりません。
少々値段は張りますがADC年鑑とかコピー年鑑がいちばん望ましいと思います。
(他にも雑誌であれば「ブレーン」「宣伝会議」「デザインノート」などもいいかもしれません)
確実にレベルの高い作品に触れられる書籍・年鑑(資料)を見るのです。
これを繰り返している間に、感覚としてほぼ正しい評価を下せるようになるはずなのです。

ただ気をつけてほしいのは、それらに掲載されている作品を制作した著名デザイナーやコピーライターに
ブランディングを依頼しましょう、ということを言っているわけではない、ということです。
(もちろんそれはそれで間違ってはいませんが)
なぜなら先ず大切なことは、見識眼を持つことだからです。
いいデザイン、いいコピーが分かることが重要なのです。

無名でも素晴らしいデザイナー、コピーライターはいくらでもいます。
賞を取ることに意味を見いださない人たちです。
ある種の権威のようなものと自分は距離を置きたいと考える人たちです。
でも、とてもいい仕事をしてくれる人たちです。
そんな人をきちんと見極めることができるように、多くの優れた広告作品を見て学習するのです。

よくあるのは、有名なクリエーターに依頼すれば安心だから、その人に「任せる」というパターンです。
任せる、というニュアンスは微妙ですが、広告やクリエイティブのことを学び、自分なりの見識を身に付けたら、
クリエーターと一緒に「どうすればブランディングを成功に導くことができるのか?」ということは、
しっかりと協議するべきです。
その企業のことをよく知っている然るべき立場の方が、クリエーターと共に望ましい企業像を発見し、消費者から
支持されることを目指して「外見指数」を高めていく。
こうすることによって「クリエイティブ・ブランディング」は、輝かしい結果を生むことになるのです。


さて、では「内面指数」について考えましょう。