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「入り口を変えるブランディング」 1

写真と本文は関係ありません

入り口を変えるブランディング 1


買い物をする、ということはどんなことなのか?
そんなことを考えてみると、あることに気がつきます。
それはつまり、ものを買うと言うことは即ち、扉を開いて商品を売っている店に入る、ということではないかと。
ネットであれば、その商品を販売しているサイトに飛ぶこと。
その行為は、店の入り口(扉)を開くこと、と言い換えてもいいかもしれません。

しかしその入り口を消費者はどうやって見つけ、選び、決めるのでしょうか?
数多ある入り口…。
商品を販売している店は、各々に工夫を凝らし、少しでもその扉を開き、店内に入ってもらえることを期待しています。
けれども消費者は簡単には扉を開いてはくれません。
それどころか、入り口にさえ立ってくれません。

ところで、ブランディングとは、その入り口に導くために行うものなのではないでしょうか?
そしてそれこそが、私が考える「入り口を変えるブランディング」なのです。



「ブランディング」の解釈はその人がどのような立場で仕事をしてきたか、あるいはどのような環境で俗に言う
「マーケティング」という概念と関わってきたかによって異なります。
マーケティングとは、モノが売れる仕組み作り。
またそのために行われるあらゆる活動。
我々はそんな風に教えられてきました。
けれどもそれは立場、つまり広告という業界で働いている人たちが、自分の置かれた場所によって「為すべきこと」の
解釈が微妙に違ってくるのです。
それはそれである意味当然なのですが。

例えば、それこそマーケティング担当であれば、企業の信頼感、期待感などを少しでも上げるためにさまざまなことを
提案するはずです。
それは歴史を遡って創業時から守り続けてきたポリシーや、製品にまつわるヒストリーなどをベースに、より望ましい
イメージの構築と知名度をアップさせて好感度を上げる戦略の提案です。
これはオーソドックスな脈絡から「ミッション」「ビジョン」「バリュー」というコンテンツに分け、自社の優位性を見つけ、
それらを意識することによって生まれる自社への帰属意識とロイヤリティの醸成を促すものです。
また今の主流はそれらをさらに強固にするための「パーパス」(パーパス経営)という概念がもてはやされています。

今、述べたことも「ブランディング」だと言うことはできます。

ところがまた違った観点を持つ人、クリエーターから見れば、先ほどの話とはかなり乖離した解釈になっていることも
ままあります。
一般的には、その企業の歴史を精査し、消費者にアピールできると思われる価値、これは先ほどの「創業時から守り続けてきた
ポリシーや、製品にまつわるヒストリー」と被りますが。
これらをインプットとして、プロダクトや広告などをアウトプットと考え、それらの統合を行うことによってイメージの整合性を
図り「ブランディング」とすることが多いように思われます。

これをもっと分かりやすく言うと、前者と後者の大きな違いは「クリエイティブ」が「ブランディング」の最重要事項と
受け止めているか否かの違いであるように見えます。
実際にブランディングセミナーを受けている企業のほとんどは、前者による解釈を「ブランディング」の定義として
受け入れているケースがほとんどです。
ですから結果的にロゴの変更をはじめとしたクリエイティブツールの開発までには至らないケースもかなり多いのです。

要するに理屈を身に付ければ、自ずと売れる仕組みも考えられるし、その先には「ブランディング成功」という目標が
達成されるということでしょうか。
しかし人間は理屈だけで生きているわけではありません。
趣味嗜好という、人によって大幅に数値が変わってしまう曖昧な「物差し=センス」というものを全員が持っています。
クリエーターは、その曖昧な「物差し」の数値を上げることこそが、「ブランディング」だと考えています。
だからこそ「ブランディング」には「クリエイティブ」(センス)が重要だと考えるのです。

果たしてどちらが正解なのでしょうか?
これからじっくりと考えていきましょう。