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【代理店時代−おまけ】

ルイス・カーンならぬ、ル・コルビジェのサヴォワ邸にて


ところでフリーになる前にこんな
ことがありました。

本人も自分の話がでてくるものだ、
と思っているようなので追記して
おきます。

フリーになることがいよいよ決まり、
そろそろ仲のいい人たちには伝えた
方がいいかな、と思っていました。

ちょうどその頃、営業のF君と名古屋
郊外にあるファッションビル(今どき
こんな言い方はしないのかな?)で、
打ち合わせを終えて、地下鉄に乗りま
した。

で、F君に辞めることを話しました。

すると…。

F君は泣き始めたのです。(笑)

いや、いや、ちょっと待て!

女性が泣くならまだしもだ、なぜ男の
おまえが泣くんだよ!!

彼曰く、ひな鳥が初めて見た生き物を
親だと思うように、私は彼が広告業界
で初めて見た生き物、すなわち親鳥だ、
と。

てなことでしくしく泣いているF君を
見ていたのですが、ある種の幸福感も
味わっていました。

月並みだけど、惜しまれて辞めたい、
という気持ちがありました。

たったひとりだったかもしれない
けど、それを、彼は示してくれた。

今だから言いますが。

私もそんな彼を見て、実は少しばかり
うるっ…としていました。

先輩・後輩なんて古くさい昭和の遺物
みたいな人間関係。

そう思う人はたくさん居るに違いない
と思います。

でも、相変わらずですが…。

私には、そんな人間関係がとても大切
です。

フリーになって30年経ちました。

すっかり仕事も少なくなり、多くの
業界人からは忘れ去られているような
私ですが。

それでも、やっぱり私を覚えてくれて
いる先輩や慕ってくれる後輩がいます。

フリーになって良かったのか?

フリーになって良くなかったのか?

私は、良かったと思っています。

クリエータとして大きな広告会社で、
メジャークライアントの仕事をして、
たくさん賞を獲る。

素晴らしいですね〜!

私には経験できなかった素敵な人生
です。

なんだか無理をして虚勢を張っている
ようにも(自分自身で)思いますが…。

それでも、今になって改めて思います
が、私はそんな名誉や立場にもあまり
興味がありません。

正確に言えば、以前にはあったかも
しれないですが、ずいぶん前から
無くなりました。

これもまた、いいことなのか、どう
なのか?(笑)

とは言え、私にはまだまだ面白いこと
や楽しいこと、かっこいいことを創り
出す力もありますし、あふれんばかり
の情熱も持っています。

これからもどんどんいろいろなことに
チャレンジしていきます。

建築家のルイス・カーンは90歳を
超えても旺盛な意欲で設計の仕事を
続けていました。

私も、死ぬまで、仕事をしたいと
考えています。

みなさん、どうぞ仕事をください。
(笑)