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【小さな思い出】

あれは16〜20歳くらいのことだったかな…。
あの頃はどうやってお金を工面していたのだろうか。
おそらく今のように酒を痛飲することもなかったから、
それほど必要ではなかったのかもしれない。

名古屋の繁華街にある洒落たジャズバーで「ジョン・コルトレーン
&ジョニー・ハートマン」を聴きながら、
すっかり気分は大人みたいなつもりでいた。

東京の東郷神社の近くにあった仏語で「どん底」っていう名前の店で、
みんなでトランプをしたっけ。そんな僕らをムーンライダースの
鈴木さんが笑いながら見ていた。

京都の円山神社では週末毎にライブがあったのかな?終わりがけに
行くと無料で見ることができた。
ウエストロードBBとか、サウス・トゥ・サウスとか不思議な
高揚感があって、うん、よかったー。

ああ、そうだった、そうだった。あの頃は、「京都」と「東京」しか
行かなかったんだ。
ジャズ喫茶がいっぱいあったし、凝ったオーディオが置いてある店が
多かったから、京都にはよく行った。
YamatoyaとかDownBeatとか。

高野悦子の「二十歳の原点」を読んだし、
そうだ!京都行こうって…。

柴田翔の「されど我らが日々」に描かれていた女性に激しく憧れて
しまったなぁ。
僕も積み木をくずしてほしかった。

下北沢のMASAKO、吉祥寺の赤毛とそばかす、それから西洋乞食
。高円寺のキーボード、中野のKIDO。
名前さえ忘れてしまった多くの店。

恥ずかしい思い出ばかり。いつだって顔を赤くして僕は生きてきた。
そしていつの間にか、
僕は悲しみやよろこびに、すっかり鈍感になってしまったんだ。